築八〇年とか百年という木造建物の建替えの解体工事に立ち会うと、まだまだ、材木自体もしっかりしているし、もったいないなぁ、などと思うこともしばしばです。
建築主さんも当然、愛着もあるでしょう。
そうは言っても、そういった建物は、現在の建築基準には合っていず、地震のことや・使い勝手、さらには、リフォームを含めた補強工事にかかる費用と古い建物を取り壊して、新しく造りなおす費用を天秤にかけてみると、あまり費用が変わらなかったりします。
そうすると、建物の強度や耐震性能はもちろん、間取りも設備もそして、外観も今風に建てなおすことになる方が多くなってしまうのです。
でも、百年もびくともしないで建っていたのですから、耐久性は大したものです。(同じ解体現場の立会いでも、築20〜30年のプレハブ住宅など、床は腐ってたりしてひどいものいっぱいありますから・・・。)
そもそも、木材が生物材料であるにもかかわらず耐久性が高い理由のひとつは、木材の中に含まれるリグニンという成分のせいなんです。リグニンというのは普通の生物には分解できないので食べられず、そのため木材は虫に喰われたり、菌にやられたりしにくいのです。
ですから、諸条件さえ整えば木造の住宅は、非常に優れた耐久性を発揮します。
が、・・・・しかし、例外がシロアリと腐朽菌なんです。
■ シロアリってどんな蟻?
世界にいるシロアリは2891種類いるといわれているのですが、そのうち日本には約22種類が定着、つまり、ほとんどのシロアリは熱帯・亜熱帯に生息しています。
シロアリというと、害虫、というイメージが強いですが、家の土台や柱を食べる、木材に害を及ぼす種類は83種類ほどで、残りの大部分は枯れた木材や落ち葉などを食物や巣の材料として運び、物質循環に大きな役割を果たしています。
日本にいるシロアリには、ヤマトシロアリ・イエシロアリ、ダイコクシロアリ、アメリカカンザイシロアリ、タイワンシロアリの5種類ですが、家に危害を加える代表的なものは、ヤマトシロアリ・イエシロアリでしょう。
シロアリは空気の動きに敏感なので、空気の動きのない場所を好みます。そのため、蟻土や蟻道を作り、自身の活動場所を覆ってしまいます。
つまり、蟻道を血管のように伸ばして、好環境を作りながら木材を食い進んでいくのです。
・・・シロアリは、蟻なんて呼ばれてますが、実はゴキブリの仲間だそうです。どうりでしぶといはずです。
■ シロアリの誤解
シロアリは湿気のないところには寄り付かないと思われているようですが、けっしてそうではありません。
シロアリの侵入の契機はなによりもシロアリがいるかどうかで、乾いていれば大丈夫というのはまちがいです。それよりも家屋の構造が侵入に適した形であるかどうかの方が重要です。
シロアリは木材が湿っているか乾燥しているかなんて食べてみて初めてわかることです。水分を含まない発泡系の断熱材も喰われますし、たとえシロアリにとって毒物であってもそれを齧りつづけ、コロニー全体の活動に影響しないかぎり、食べては死ぬ、を繰り返すでしょう。
それが気がつけば、コンクリートでも金属にでも穴をあけ、その向こうにある木材にたどり着いたりするのです。(最初からその先に木材があるなんてことはわかっていないです。)
檜、ヒバ材はシロアリに喰われないと言いますが、そんなことはないようです。事実、わたしも檜の土台がシロアリ被害にあっているのを見たことがあります。
何しろ侵入に際して木材を選んでくるわけではないので、とりあえずはその木材に適応するしかないでしょう。そしてそこを通過して床材や畳を食べます。
ただし、軟らかなものほど食べられやすいようです。先ほどのウレタンフォームの断熱材などもそうです。
シロアリが家に侵入する条件としては、まず、十分な密度のシロアリがいることです。木材がいくら湿っていてもシロアリがいなければ被害は生まれません。
■ 腐朽菌って何だ?
木材の腐朽菌は、木の成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンを分解して繁殖します。床下や屋根裏で見られる腐朽菌は褐色腐朽菌と白色腐朽菌の2種類です。
褐色腐朽菌は木材中のセルロースとヘミセルロースを分解し、建築材である針葉樹を主に腐朽し、白色腐朽菌はすべての成分、セルロース、ヘミセルロース、リグニンを分解します。主に広葉樹を腐朽します。
腐朽が進行すると当然、木の質量が低下し強度も著しく落ちてしまいます。
ちなみに、木材の質量が50%低下すると、強度は90%も落ちると言われています。
この腐朽菌も水分、温度、酸素、栄養の多い木材で繁殖します。特に屋根裏や床下が湿っているような場合、腐朽しやすい環境といえるでしょう。
■ 余談:腐朽菌はダイオキシンを分解する。
ダイオキシンはみなさんご存知だと思います。そう、塩化ビニルやポリ塩化ピ二リデン(ラップの材料)等を低温で焼却したりゴミ焼却場から出る灰に含まれているとんでもなく毒性の強い物質のことです。
ダイオキシンは本来、自然界には存在しない物質のため、これを無害な物質に分解できるものは自然界には存在しないと考えられていました。
でも、なんと木材の腐朽菌がダイオキシンを分解してしまうということが、最近の研究から分かってきたそうです。
早く実用化されることを願ってます。
・・・・対策はまた次回に!
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